「最近よく耳にする“リスキング”って何??」
「“生涯学習”とは違うの?というか何でこんなに話題になってるわけ??」
最近、ニュースや新聞でも「リスキリング」という言葉をよく聞きます。経済産業省から「経済財政運営と改革の基本方針2022」が発表され、その中で「リスキリング」について提唱されたことで注目度が高まりました。
経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)
参考:内閣府ホーム「経済財政運営と改革の基本方針2022」
今回は「リスキリング」とはどういった意味なのか、求められる背景にはどういった考えがあるのかをまとめていきます。
リスキリング(reskilling)とは
リスキリングを英語の「Re:skilling」が基になった言葉で、学び直しという意味があります。経済産業省はリスキリング(Re-skilling)を以下のように定義しています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」
これまでとは違う新しい仕事をするために必要な技術を身につける、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを身につけることを指します。
これまでよく聞いていた「生涯学習」とはちょっとニュアンス違うわけだ。
リスキリングには、ある職業でのスキルを別の職業や業界で役立つように転換するという意味合いも含まれ「労働市場の流動化」が目的とされています。
リスキリングが求められる背景
DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の到来
リスキリングが求められている背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進があります。DX推進の加速によるDX人材の不足やコロナ渦での働き方、求められているビジネススキルの変化が関係しています。
DXとは、企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織の変革をおこなうことをいいます。DXの推進にあたり、デジタルシステムの管理をおこなうエンジニアや、情報の解析をおこなうデータアナリストなどDXに特化した人材が求められるようになりました。
DX化が進んでいる一方で、DXに対応できる人材が不足しているという現状があります。
企業は社員に新たな働き方に適応してもらえるよう、身につけてほしいツールの使い方やルールの変化について学んでもらうための手段として「リスキリング」に注目しています。
また近年のコロナウイルスの流行により、オフィス勤務からテレワーク勤務に変わるなど、働き方が多様化していることも「リスキリング」が注目される要因になっています。
人材不足を視野に入れた人材育成
超高齢化社会の到来を迎えて、今後は業種を問わず人材の新規採用の難度が高くなっていくと予想されています。新しいスキルをもつ人材が必要になっても、簡単に求人市場に求めることができないとなると、これからは既存従業員の教育の重要性が高まります。
業務の生産性向上も求められ、今後もビジネスの規模や速度を維持しながら品質を高めるためには、リスキリングによる新たなスキル習得が欠かせません。
常に即戦力でいることを求められるってことだね。
リスキリングで何を学ぶか
個人にとっても、これからの時代はリスキリングが不可欠です。今や1つの会社で定年まで安心して働ける時代ではなくなりました。終身雇用で働き続ける「うまみ」が損なわれつつあり、終身雇用が崩壊しつつあるといわれています。
デジタル化やAI(人工知能)の普及で人材が不要になる業界も出てきています。一方で、結婚・出産後の女性や定年後の高齢者の多くも働くことを希望するようになりました。誰もが環境やライフスタイルの変化に合わせ、勤め先や働き方を選ぶ必要性が高くなっています。
リスキリングによりスキルアップすれば、転職がしやすくなり、今は転職を考えていない人でもキャリアアップを目指すことは重要になります。スキルを身につければ、会社を辞めて転職しなくても、副業で収入を増やすことも可能になります。
リスキリングは特定のジャンルや能力に限定されない言葉なので「何を学ぶか」が重要なポイントになります。一例ではありますが、DX時代に欠かせないリスキリングで特に学んでおきたいスキルを4つご紹介します。
- ITスキル
DX化で必要不可欠なITスキルは、優先的に学びたい能力のひとつです。代表的なものにはプログラミングスキルがあり、ロジカルシンキングや課題解決能力なども養えるというメリットがあります。 - マーケティングスキル
収集した情報を分析し必要に応じて整理・加工するデータ分析は、DX化に欠かせないスキルです。SNSやインターネットなど、多くのユーザーが集まる場所における顧客行動や心理を学ぶことで、売上アップやデータ分析能力の向上が期待できます。 - データ分析
集めたデータの整理や加工、活用するデータ分析スキルも、企業に重宝されるスキルとして積極的に学びたい分野です。ビッグデータを扱ったり、顧客ニーズから最適なサービスを生み出すことにもつながります。 - Web制作・運用スキル
現在ほとんどの企業や自治体がWebサイトを運営しているため、WebサイトやSNSなどのWeb制作・運用スキルも重宝されるスキルのひとつです。活躍の幅を広げるうえで大事なポイントになります。
まとめ
変化の激しい時代に対応するためには、個人でもリスキリングを意識しておくことが重要です。
リスキリングで何を学ぶかは個人によっても異なりますが、多くの場合、DXを見据えたデジタル・IT知識の習得がポイントとなります。
デジタル・IT知識となると苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、1つ1つ着実に学べば決して困難なことではないので、少しずつデジタル・IT分野のスキルを高めていきましょう!